サイト制作の技術選定

AI時代のWeb制作。バニラJS・jQuery・フレームワークの選定基準と事例

ウェブ制作の現場では、長らく「jQuery」が標準とされてきましたが、近年の「表示速度の重視」や「AIによるコード編集」の普及により、選定基準が大きく変化しています。

jQueryは依然として「基本」の立ち位置にあります。圧倒的な工期短縮、豊富なプラグイン、そして蓄積されたノウハウ。しかし、現代では「AI運用のしやすさ」や「大規模開発の秩序」など、目的に応じてバニラJSやフレームワークを使い分ける判断が求められています。

プロジェクトの目的と運用体制に合わせた、3つの典型的な選定事例を紹介します。


技術選定の比較一覧

選定軸 バニラJS jQuery JSフレームワーク
主な用途 特定ロジック・AI運用 一般的なサイト 大規模サイト
開発スピード 中(自作が必要) 早(資産が豊富) 中(環境構築が必要)
納品後の運用 AI共創に最適 制作会社への一任向き プロによる継続保守向き
将来性・寿命 最高(規格が変わらない) 低(衰退傾向) 中(アプデ対応が必要)
学習コスト JSの基礎力が必要 低い(直感的) 非常に高い

AIは「指定なし」ならバニラJSで回答する

AIを使ってコードを生成する際、実は大きなポイントがあります。AIは特に指定がない限り、最も汎用性が高く確実な「バニラJS」でコードを書き出すという性質を持っている点です。

  • プロンプトの手間が減る: 「Reactで書いて」「jQueryを前提にして」と毎回補足する必要がなく、素の指示だけでそのまま使えるコードが返ってきます。

  • 精度の向上: AIにとって標準JSは学習量が最も多いため、ライブラリ固有のバグやバージョン違いによるエラーを起こしにくくなります。

この「AIの標準言語がバニラJSである」という事実は、パイプコーディング(繋ぎ込み)のスピードを劇的に高める見えないメリットとなります。


事例1:AIと共創する「機動力重視」のメディアサイト

選定:バニラJS (Vanilla JS)

  • プロジェクトの背景

    納品後、クライアント自身がAI(CursorやChatGPT等)を活用して頻繁にABテストや機能追加を行いたい。

  • なぜバニラか?

    AIがコードを生成する際、ReactやVueの独自ルール(State管理など)があると、生成コードをそのまま貼り付けても動かない「構文エラー」が多発します。標準規格のバニラJSであれば、AIが出したコードをそのまま「パイプ」のように繋ぎ込むことができ、クライアントの試行錯誤を邪魔しません。

  • 勘所

    「納品して終わり」ではなく、クライアントが自ら育てていくサイトに最適。

事例2:スピードとコストを両立する「標準的」な企業サイト

選定:jQuery

  • プロジェクトの背景

    予算・納期がタイトで、スライダーやアニメーションなど、一般的なリッチ表現を盛り込みたい。

  • なぜjQueryか?

    世界中に膨大なプラグイン資産があるため、ゼロから開発する必要がありません。検証済みのパーツを組み合わせることで、開発工数を大幅に圧縮できます。また、多くのコーダーが扱えるため、jQueryなら「誰でも触れる」という安心感があります。

  • 勘所

    「定額・短期間・定番の動き」が求められる、安定感重視のプロジェクトに最適。

事例3:多人数で開発し続ける「成長型」Webサービス

選定:モダンフレームワーク (React / Vue.js 等)

  • プロジェクトの背景

    複数のエンジニアがチームで開発し、複雑なユーザー登録やマイページ機能などが存在する。

  • なぜフレームワークか?

    「コンポーネント指向」により、コードの書き方を統一できるため、大人数で触ってもコードが複雑化しにくいのが特徴です。大規模なシステムにおいて、長期間の品質管理を可能にします。

  • 勘所

    「サイト」というより「システム(アプリ)」に近い、構造的な秩序が必要な開発に最適。


選定を左右する「5つのチェックリスト」

どれを選ぶべきか迷った際は、以下の3点を確認してください。

  1. AIのデフォルトを活かすか?
    プロンプトに細かな条件を付けなくても動く環境を渡したいなら、重要箇所は「バニラ」
  2. 「誰が」保守するのか?
    制作会社に任せるなら「jQuery」。クライアント自身がAIで自走するなら「バニラ」。

  3. 「何のために」動かすのか?
    リッチなプラグインを楽に導入したいなら「jQuery」。

  4. システム規模は?
    1枚のLPや中小サイトなら「jQuery」。巨大なサービスなら「フレームワーク」。
  5. 「いつまで」使うのか?
    10年単位の寿命を求めるなら、ライブラリの廃止に左右されない「バニラ」。


まとめ

「どれか一つ」に固執するのではなく、「jQueryの効率」「バニラの自由度」「フレームワークの秩序」を、プロジェクトの性質に合わせて部位ごとに最適化する。

技術のトレンドに流されるのではなく、「納品後のクライアントが、いかにストレスなくサイトを改善し続けられるか」。その運用体験(DX)までを見据えた技術選定こそが、これからの制作現場に必要だと思います。

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